経験が浅い社員の接客スキルが素早く向上する指導方法とは

こんにちは、三厨万妃江です。

もし、あなたが経営者だったり、人材育成に携わっていたりする場合

「新人スタッフが、早く一人前になってくれるといいなぁ」

と、思うことがあるかもしれません。

でも、実際には、教育は一朝一夕にはいかず、教育する側にとっては忍耐の日々をひたすら過ごす…というケースも少なくないでしょう。

でも、朗報です。

経験が浅い社員でも、接客スキルが素早く向上する指導方法があるとしたら、いかがですか?

きっと、いますぐにでも飛びつきたくなるのではないでしょうか。

今日は、そんなお話をさせてください。きっと、お役に立てると思います。

薬剤師さんとのやり取りからわかる、問いかけ技術の重要性

まずは、私の経験談です。

ある日、家族の薬をいただきに処方箋を持って出かけた薬局でのこと。

前回から処方されはじめた塗り薬の、二度目の処方の際

薬剤師の方がこんなことをおっしゃいました。

薬剤師さん

前回、こちらの塗り薬、うまく使えましたか?

三厨(心の声)

え??とりあえず、言われたとおり使ってきたんだけど、
なにか問題あったかな~やり方、まちがったのかしら??
それとも、そんなに使いにくいお薬だったっけ???

(不安・・・・)

三厨

すみません、ちゃんと使っているつもりですが、
うまく使えていないとしたら、どういう使い方の場合でしょうか?

薬剤師さん

えっと、あの~・・・わかりませんが・・・」

三厨(心の声)

???

う~~~ん??私はもっとわからないけど・・・

と、こんなやりとりです。

しかし、その薬剤師の方、その後のフォローがよかったのです!

少し間があったのち、次の言葉が突破口になりました。

薬剤師さん

えっと、かぶれたりはしなかったですか?

三厨

はい、大丈夫でした!

使った後、一時的に血行が良くなり、かゆみがでるようでしたが
そのことも、先生からキチンと事前にお聞きしていますので。

ありがとうございます

薬剤師さん

そうですか!それでは大丈夫ですね!

三厨(心の声)

よかった~、間違ってなかったんだ~

でも、それならそうと言ってくれないと、ちょっとびっくりしたな~

さて、このやりとりから、あなたは、どんなことをお感じになりましたか?

私は、教えていただいた通りに使っていたつもりなので、「うまく使えているかどうか」と漠然と問われると、

「もしかして、使い方間違っていたのかしら? うまく使う方法があったのかしら???」

と思って急に不安になりました。

この薬剤師さん、経験が浅いようでしたがフォローはとてもよかったです。

でも、最初から「かぶれなかったですか?」と聞いてくれたら、

私は不安を抱くこともなかったかも?と思ったのです。

この場合、薬剤師さんが聞きたいことは、その薬を使ったことによる「副作用などの不具合がなかったか?」ですから

「うまく使えていますか?」という問いかけでは、残念ながら私からはその答えは引き出しにくいです。

また、患者(や、その家族)にとっては、専門知識がなく、わからない状態なのですから、言われたとおりにすることが「正しいこと」と思っているので、

うまく使えたか?と問われても、

言われたとおりにやったけれど、何か???という状態です。

ですから、

「うまく使えたか」と問われると、他にもっとよい方法があったのかと、誤解したり、不安になったりしてしまいます。

きっと、薬剤師さんは、困っていることや不具合はないのだろうかと、親切にお聞きくださったのでしょうから、

引き出したい答えが引き出しやすいように問いかけること

それが大切なのです。

経験の浅い社員でも、接客スキルが素早く向上する指導方法

さて、上記の薬剤師さんも、きっと経験を積めば、曖昧な問いかけではいけないということを覚えていくのでしょうが、

企業としては、できれば早く、あるいはたとえ経験が浅い人であっても、接客スキルを向上してほしいと願うものです。

お客様から引き出したい答えを上手に引き出すことができれば、よりお客様に寄り添った情報やサービスが提供できるようになるからです。

まして、医療機関や調剤薬局などは、「命を預かる現場」。

問いかけやその答えによっては、思わぬ方向に進んでしまう危険性も…

そこで、私からご提案する指導方法とは、マニュアル化です。

なーんだ、そんなことか、と言わないでください。そんなこともできていないケースが、あるのですから。

マニュアル化というと、

「マニュアル通りになんていかない。患者様ごとに違うから」

とおっしゃる方は多いもの。

確かにその通りです。

しかし、問いかけの第一声を決めておくだけでも、その後の患者様とのやり取りはスムーズになるでしょうし、不安に思わせることもないはずです。

これも「マニュアル化」です。

今回の場合でしたら、次のようなマニュアルがあると良かったでしょう。

塗り薬を使い始めて、二度目の処方となる患者様の場合は、以下のようにたずねましょう。

「こちらの塗り薬をお使いになって、何かお困りになったことはございませんか?

たとえば、患者様によっては、使った後に血行が良くなって、かゆみがでることもあるようです。

それを心配なさる方がいらっしゃいますが、これは一時的なものなので、心配はありません。そうしたことはございませんでしたか?」

そして、このマニュアルをスタッフ全員で共有し、スタッフ全員で練習しておきます。

こうすることで、患者様に不安を与えることなく、経験の浅い薬剤師の方でも自信をもって安心して仕事に当たれるはずです。

マニュアル化とは

患者様(そのご家族のかた)に一番伝わりやすい伝え方を全員で決めて、全員ができるようにしておく

ことを指します。

一人ひとりが、自分なりの解釈で接するのではなく、全員で共通認識を決めておく。

こうしたことを一つずつ積み上げていくことで、より患者様に寄り添った、また命を守る仕事が全うできるはずです。

さて、調剤薬局に限らず、お客様にお尋ねする話し方、答えを引き出しやすい質問の仕方は、どんな仕事においても大切です。

誰もが使うだろうことだけでも、組織内で、統一なさっていますか?

もしかすると、経験の浅いスタッフは、どのように話したらよいか困っているかもしれません。

それでは、お客様はもっと困ってしまいます。

私はこうした「マニュアル化」を導入しながら様々な業種の人材育成も行っています。

しかし残念ながらマニュアルを作成しても、マニュアル通りに実践する人としない人がいます。

私の経験でお話しすると、実は仕事の成果を出す人はマニュアル通りにまずはやってみている人です。

営業職でも成果を出す人はまず決められた通りやってみている人です。

成果が出ない原因を探ると、マニュアル通りにしないで勝手に自分で変えてしまっているケースが多々あります。

こんな時、残念だな…って思います。

まずは決められた通りやってみる。

マニュアルも不具合があれば改善していけばいいのですから。

取り組む前から、できないと言わず、まずはやってみる姿勢。

これは、指導側も、指導される側も同じです。

  1. 基準を決め「マニュアル化」する
  2. 全員で情報共有し、できるように練習する
  3. その通り実践してみる
  4. 不具合がないか確認しあい、必要ならばマニュアルを改善する
  5. 改善したマニュアルを実践する

常に、この繰り返しを継続すること。

これこそが人材育成の近道ではないでしょうか。

新人スタッフに、早く一人前になってほしいとお考えの場合で、まだマニュアル化に取り組んでいなければ

今日からさっそく、実践することをおすすめします。

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